永久の贄[BL]
「哉、まさか知らな……」

「知りませんでした。彩十様が呪いにかかって療養中と言うのは知っていましたが、
まさかそんな大きな事だったとは……恐らく、
長はその周りの連中以外で知らないのは自分だけじゃなく里の他の住人皆だと思いますよ」

……じゃあ、俺はやってはいけないことをやってしまったのか?
里の住人が混乱しないようにあえて事実を伏せていたと言うのか?


「ですが、彩十様。だからと言って遠くに行こうってのは間違いです」

「何で!? 俺、誰も死なせたくないんだ。海理があんなに楽しそうにしていて、
周りもそんな海理に慕っていて。誰一人笑わない奴なんていないんだ。
誰もが皆幸せで。だから俺が死んで里が潰れるなんてあっちゃいけないんだ!
死ぬのなんてもう覚悟していたんだ。死ぬのは俺だけで……」

「彩十様!」

途中で突然哉が大声で怒鳴った。
< 165 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop