永久の贄[BL]
「だ、だけど……」

「長が信じられませんか。それとも彩十様は今すぐにでも死にたいので?」

別に今すぐ死にたいと言う訳ではないし、海理が信じられない訳ではない。

ただ一ヶ月以内に死ぬのであれば、

その一ヶ月で出来るだけ遠く離れた場所に行って死のうと言う。そう思っているだけだ。


「って言うか、悔しくないんですか。今から失礼な言い方しますけど、
アンタは村の連中に贄にされただけでなく向こうの保身の為に“殺される”んですよ?」

「別に……」

「彩十様の所じゃ贄になった時点で、俺達にその身を食されると思っているんですから、殺されたも同然ですか。
じゃあ、言い方を変えましょう。贄になって、里で言いなりとなる“殺され方”と、
本当にその命を強制的に終了させる“殺され方”。
彩十様は今まさに後者の殺され方を村に強要されている。それが悔しくないんですか?」
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