永久の贄[BL]
「安心して下さい。海理様。折れるか折れないか、
ひびが入るか入らないかの所で力を加減しましたから。死んでいません。本来なら殺してやりたいところですが」


その雪の眼は普段のオレがよく知る穏やかで優しい眼ではなく、殺意のこもった冷酷な眼。

オレが血を流させるなと言わなかったら、確実にこいつはこの男を殺していた事は間違いない。


「雪、やるなら最後まで奴の話を聞いてからにしろ……それにこいつらを誰が村まで運ぶ?」

「……それについては申し訳ございません。海理様に発砲した事でつい頭に血が昇ってしまい。
しかし、この男の言いたい事は恐らく、新たな連中が待っている事でしょう。
聞くまでもありません。村まで誰が運ぶかについては、この中の一人が目覚めれば問題はないかと」


相変わらず冷酷な眼をしたままだったが、暫くすればそれも元に戻るだろう。

元に戻る前にまた新たな村人に遭遇しない事を願おう。

遭遇したその時、恐らく……いや確実にその場は血の海と化す。
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