永久の贄[BL]
「これで彩十さんも助けられますね!」


目を輝かせながら喜ぶ雪と共にオレも喜びに浸りたかったが今はそんな事をしている場合ではない。

すぐに用を済ませなければならない。彩十の為にも里の皆の為にも。

ババ様から受け取った白いとっくりに入れられるだけ水を汲み、すぐさま引き返す。

この不思議な光景をしばし眺めて痛かったが、今はそんな余裕なんて何処にもないのだ。


「急ぐぞ」

「は、はい……!」


暗闇の中、虫の音が響き渡る森をただひたすらに走り続ければ全て終わる。

彩十が死んでしまっているのではないかという心配はあまりなかった。

アイツはオレとの約束をしっかり守る。生きているに決まっている。あまり根拠はないが。
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