永久の贄[BL]
「わざわざ自らが出向くとは思わなかったな」


歳は確か六十代から七十代。その割には足腰もしっかりしていて若々しい。里で言うとババ様みたいな男。


「ワタシはまだまだ現役だ。若い者だけには任せられぬ」


ハッハッハッと言う高笑いが森中に響き渡らせるその男こそ、村の長。

彩十に呪いを仕掛けた張本人である。


【お前、よくも我々の目の前に姿を現せたな】

「此方の邪魔をされたくはないものでなあ……」


狼に姿を変えているからなのか、普段出している低音よりも更に低い低音で雪は怒りを震わせながら言う。

オレもそれには同感だ…………が。


「その割には一人では来ないで他の側近を連れて来たか。しかも数十人。
臆病者と言うべきか、弱い者いじめの好きな奴と言うべきか」


鼻で笑ってやれば、その内の数人が此方に銃を向けてくるではないか。

相変わらず気が短い事だ。村長が静止しなければならない程に熱しやすい奴をよくもまあ連れて来られたものだ。
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