永久の贄[BL]
【海理様!】


突然響き渡る雪の声。この光景をオレは一度体験している気がする。

銃声が響いたかと思えば、今度は足に痛みが走る。足からはまた血が流れているではないか。なんて事だ。


「よくも村長を……!」


撃った奴だけではなく雪がまだ倒し切れていない奴も、オレを鋭い目で睨んでいる。

ああ、こいつらは勘違いをしているようだ。確かに今村長は倒れている。

だがオレと違って血は流してはいない。何故ならばオレは刀を鞘から抜いていない。

鞘に入れたままの状態で鳩尾に突き刺したのだ。

骨はやられているかもしれないが、命までは奪っていない。何故ならそれがババ様との約束でもあるから。


「オレの血で汚れてはしまったが、村長の汚れた血で彩十を汚したくはないから」


これはオレが食らわせた一撃ではない。彩十が食らわせた一撃だ。
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