永久の贄[BL]
【海理様! 僕に乗って下さい!】

「だがお前だって……」

【今の海理様が走るよりはまだ幾分か良い方です! 僕に構わず、さあ!】


確かにそれも正論だ。もう躊躇(ためら)っている余裕もない、か。

人一人は楽に乗せる事の出来る雪の大きな背にまたがり、

哉に視線だけで任せたと合図を送れば後はもうただ前を向く。

後ろは振り向かない。ただひたすら里を目指す。この先村人に会うんじゃないかと言う不安は殆どなかった。

会ったとしてもこの雪の速さなら蹴散らされると思ったし、

村長が倒れた今それ所でもないだろう……と。残る敵は時間だけだ。

村人や村長よりも強い見えない敵だ。
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