hair salon 『K』
「!!!!」

驚きのあまり、私はイスから立ち上がって、そのイスさえも倒してしまう。


中川君も…嫌がる気配はなくて、女の子の背中に手を回した。



「嘘…」

抱き合っている二人は、しばらくすると離れて女の子は顔を上げた。


年は同じくらいの、とても可愛い子…



「………あはは…なぁんだ…」


力なく笑ってからキャンバスなどの道具をしまった。

ペンケースもカバンに突っ込んで昇降口へ向かう。



靴を履き替え、裏門から走って出ていった。


《まだ何も…まだ何もしてないのに…!!》


まだ何もしてないのに、私は失恋が決定してしまったんだ…。

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