hair salon 『K』

片づけをすませてから、いつものように練習を始めた。


「…茜は熱心だな」


「あ、黒田さん」

気がつけば、他のスタッフは帰っていた。


「遅くならないうちに帰れよ」


「はーい」

私は再びハサミを動かし始める。


黒田さんは事務所に戻って行った。


《ここはもうちょっと斜めにハサミを入れた方がいいかな…》


そんなことを思っていると店の扉が開いた。


「あ、すみません、今日はもう…」


そう言いかけて、やめた。


「俺だから平気だろ?」


「…涼太……」


涼太は扉を閉めて、店に入ってきた。


「…どうしたの?」


「いや、店の前通りかかったらもう閉店してるはずなのに明りがついてたから…」


「ふうん?」

涼太は私の横に座った。


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