hair salon 『K』
急に動きが止まった私を不思議に思ったのか涼太は逃げるのをやめた。
「涼太…私、私ね…‼」
「あ…かね?」
あんな些細な言葉で、顔を赤らめてしまう涼太…
私が告白したらどうなるんだろう…
私の心臓が忙しく動く。
涼太の顔がどうなるかわかるっていう、わくわくの鼓動じゃ、ない。
今までの気持ちを伝える…それが、不安で、どうなるかわからなくて、でも伝えたくて……
色々な想いがごちゃ混ぜになった鼓動だ。
「涼太…私…涼太のこと…」
「茜ー、練習終わったか?」
手元の資料を見ながら現れたのは、黒田さんだった。
「って、あれ?涼太、何で居るんだ?」
「……居たら悪いんですか。」
「何だよご機嫌斜めだなぁー」
黒田さんは笑った。
「…タイミング最悪……」
けれどそう言って深いため息をついた涼太から何かを感じ取ったらしく、私と涼太を交互に見て
「あれ…邪魔しちゃった感じか?」
とても不安そうな顔を向けてきた。
「だ、大丈夫です‼私…帰りますね‼」