届け
初めて
 私はあなたに片思いをした。
 幼稚園も、小学校も、同じだったね。
 中学校も同じだね。
 クラスは、中学1年生で初めて同じになったね。
 中学1年生になるまでは、あなたと話すこともなかったね。
 でも、あなたと話すようになって、だんだんあなたに惹かれていった。
 最初は、あなたを好きになるなんて、思ってもいなかった。
 部活が同じ。掃除場所が同じ。後期になったら、委員会も同じ。
 あなたとの共通点が多すぎて、いつもあなたと一緒だった。
 委員会を決めるとき、私は副会長になった。
 副会長が2人とも女子で、会長が男子。
 でも、会長がなかなか決まらなくて、教室の後ろで男子が集まって、話しあいしてたよね。
 そのときね、なぜか私は、あなたが会長になることを望んでいたの。
 あなたのことが好きでもないのに。
 なぜか同じ委員会になりたかった。
 あなたもしっかりしてるけど、他にもしっかりしてる人はいた。
 冬休み前の席替えの時も。
 私はあなたの隣の席を望んでいた。
 あなたのことが好きでもないのに。
 でも、あなたの隣にはなれなかった。
 でも、席は近かったね。
 通路を挟んで隣に、あなたがいた。
 あなたは私を見てこう言ったね。
 『またお前かよ!!』
 笑いながら、そう言ったよね。
 あなたの隣の席の女子が、私は無性にうらやましかった。
 私はあなたに嫉妬していた。
 冬休み。
 私はなぜか、あなたのことを考えていた。
 いつの間にか、あなたのことを考えていた。
 私ね、そのとき気付いたんだ。
 私はあなたが好きだって。
 数学の時間。
 あなたは私にこう言ったね。
 『垂線ってどうかくの?』
 って。
 
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