さまようカラダ〜未熟で未完成な恋…美春
足元に集まった鳩に



パンをちぎってあげながら

安田君は 自分のタバコに火をつけた



『おいしい?』


『自分のが一番だ。でも、これももらっとく。』


箱をクシャっと握って


上着の内ポケットにねじ込んだ



『みて。鳩がこんなに』



私がパンをあげるもんだから


いつの間にか 向こうからも飛んで来てる



『コラコラ。やめとけ。鳩に全部食われるぞ』



足で鳩を追い払う安田君の…苦々しい表情に


『ひょっとして…鳩が嫌いとか?』


図星だった。
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