嘘と約束~イブの前夜に
放課後、隆秀は教室の入り口で

「麗!行くぞ~」

と、周りにわざと見せびらかすように、大声で叫んだ。

隆秀は隣のクラス。休み時間、放課後などはいつも一緒にいるので同じクラスと言っても、違和感がないくらいだ。

「麗那は、愛されてるって感じでいいな~。今日は、どこでデート?」

「わかんない。付き合ってほしい所あるんだって」

「そっかぁ~じぁ、また明日ね」

「うん。また明日」

いつもと変わりない未樹との挨拶。ただ…
今日は何となく、麗那は変な感じがしていた。
(私が、疲れているせいだよね)

そんなふうに自分に言い聞かせながら、隆秀の後を追いかけるように、校門を出た。

相変わらず、隆秀は、麗那の腰に手をまわし、周りの事はおかまいなし。

麗那から何となく切り出した。

「隆秀。今日付き合ってほしいって所どこ?」

「ん?あ~まだ内緒。麗、びっくりさせるからぁ」

笑顔の隆秀とは逆に、麗那はなんだか憂うつな気分だった。今にも雨の降り出しそうな、空のように。

高3の冬。進路も決まりかけた2月初め。高校生活、最大の出来事がおきてしまう。


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