最後の世界がきみの笑顔でありますように。
「坂原!?」
驚いて振り返ると、坂原は辛そうな顔をしてあたしを見ていた。
「…………どうしたの…?」
心配になり坂原に近付く。坂原が川原に行くと言ってから、様子がおかしい。
「…ごめん…。川に落ちないよう気をつけて。」
そう言って、坂原は手を離した。辛そうな笑顔を浮かべたまま…。
ズキン……
離された手が名残惜しい。まだ握っていてほしい…。離さないでほしい…。
そう……あの時……。伸ばした手が触れ合った時に感じた温かさ。それだけは覚えている。
その温かさに、坂原の手は似ている。
「お姉ちゃん早く〜!!」
翼君や秋君が呼んでいる。
「あ…うん!!……坂原、じゃああたし行ってくるね。」
「あぁ…。」
坂原に背を向けて走り出す。坂原の辛そうな笑顔が頭にこびりついて離れない。