*短編小説*花びらを胸に
それはもっとむかしのこと。
少女には愛する男がいました。
彼も彼女を深く愛してました。
村人たちはそんな二人に嫉妬の心を浮かべながらも、そんな幸せな二人を心から祝福していました。
しかし、神はそうではなかったのでしょうか…?
ある時、少女が住む近くの川で大きな氾濫が起こりました。
それは百年に一度の大洪水です。
なんと少女は避難し損ねて、川の真ん中にある大きな石取り残されてしまいました。
大きな、と言っても今は氾濫のために少女がやっと座れるぐらいの大きさでした。
『助けて…』
少女は岸の向こうにいる愛する男に呟きました。
――――…貴方ともっと笑っていたいの。