脱皮みたいな。


黄色いエプロンを身につけたお姉さん。

騒がしく走り回る小さな幼児。

転がっている積み木やブロック。



…ここはどこ?




「あ、あの…」

「お迎えですかー?」




にっこり笑うその人に、後ずさりする私。

目の前に広がる光景をうまく飲み込めず、ただ戸惑う。





「あの、私…ここに入会したくて、その…」





さっきまでの勢いはどこへ行ったのだろう。

そして私は一体何を言っているんだろう。





「あのー…大丈夫ですか?」



心配そうに首を傾げるお姉さん。

はい、大丈夫でじゃないです。




「とりあえず落ち着いて、こちらへ掛けて下さい」


促されて椅子に座る。



差し出されたオレンジジュースをおとなしく飲んだ。

甘さのなかに酸味がちゃんとあって、口内炎に少ししみる。





一呼吸おいて、ゆっくりと話し始めた。



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