五里霧中



いつの間にかアタシは知らなくてもいい、世界の汚れにまで目が行くようになった。


彼女が彼に酔狂していること。


あの子の中にいる様々な“あの子”。


支え合わないと死んでしまう脆い二人。


それに世の中を知らないアタシだって、世界の汚れの一つ。



なのに彼はどうしてアタシ達を助けてくれたんだろう。


こんな醜いアタシ達を、どうして愛してくれるんだろう。


わからない、わからない、わからない。


どんな本を読んでも。


どれだけインターネットで調べても。


その答えだけは、わからなかった。



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