五里霧中



急な勾配に差し掛かったところで、ついにボクの体の糸が切れた。


「っ!クソッ」


必死に力を入れようとしても、足は全く動かない。


あの男はすぐそばまで迫っていると言うのに……



なんで、なんでなんでなんでなんで!



「なんで邪魔するんだよ!」


鉛のように硬くなっていく両足に拳を落として叫ぶ。


その叫びは慟哭となって周囲の空気を揺さぶった。


なんでみんな邪魔するんだ。


どうしてボクは幸せになれないんだ。


< 164 / 351 >

この作品をシェア

pagetop