五里霧中
「汚ぇな。てめぇみたいな虫が人間様の地面を汚してんじゃねーよ!」
鈍い音と共に男のつま先が鳩尾にめり込む。
さらに嘔吐すると、男は不機嫌そうに舌打ちをしてボクの頭を踏みつけた。
「この場で殺してやろうか、あ?てめぇのせいであの人は帰ってこれねーんだよ!」
「ッ!」
地面と一体化するには随分と横着なやり方だ。
お陰で大分頬が擦り切れてしまっている。
これで頭蓋骨を粉砕でもされたら、いくら痛みに鈍感なボクでも昇天しかねない。
『このまま殺されたら?』
唐突に誰かの声が脳内に響いた。
聞こえた、というよりは響いた、が正しい感じ。