五里霧中



「金魚も濡れちゃいますね」


「あー……じゃあ金魚鉢にでも入れ替えて、キミの部屋に連れて帰ればいいよ」


お兄さんはそう言って、また廊下の奥に消えていった。


やっぱりあの人は昔も今も変わらない。


本当に、適当な人だ。



少しずつ怪しくなっていく雲行きに顔をしかめながらも、


「ボクはボクだからな―――」


ボクの心の中はいつにもなく晴れ渡っていた―――。




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