五里霧中



彼女は、妹はオレ達の実の母親に虐げられている。


昔はずっと二人で耐え続けていた。


だけどある日オレだけが伯父さんに連れられて家を出た。


だから彼女はオレに捨てられたと思っているんだろう。



自分を守る盾を失ったとき、人間はどれだけ絶望するのだろうか。


迫りくる死に恐怖する?


それとも自らを見捨てた盾を恨むのか?


怨み骨髄に徹すとはよく言ったもの。


今の彼女は正にその状態だろう。


自分に振りかかった悲劇を全て背負いこんで。


その全てを怨恨に変えて。


ぶつける相手も見つからないままに、抱え込んでしまっているのだ。



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