五里霧中



今日も何も収穫はなかった。


そうだ、さっき誘拐犯に注意してって言えばよかったかな?


いや、でも……


「……あんな家なら、誘拐された方が幸せかもしれない」


オレはまたあの牢獄のような家に帰らなければならない。


そして彼女も、監獄のような家に帰るのだ。


どうしたってオレ達は同じ道を辿るようだ。


現実から逃げ出したオレも、現実を背負いこんだ彼女も。



「……あー、死にたい」



逃げ冗句だと知りながら、オレはまたそんなことを嘯いた―――。



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