五里霧中



兄が親戚の家に引き取られてから、アイツの虐待はさらに酷くなった。



何か嫌なことがある度に、気絶するまで私を殴るんだ。


そして狂ったように泣きわめきつづけて。


お前なんかいなければ、お前なんか産まなければ、って叫び続けて。



私の冷たい涙が頬を濡らしても、アイツの乾いた心は潤わない。


大人なんて大嫌いだ。


心からそう思った。


でも、本当は大好きだった。


アイツは何があっても私を捨てたりしないから。



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