五里霧中



いたいた。


中庭の池の端に座り込む彼の姿を見つける。


人格がわからないので恐る恐る近付くと、ふいに彼が振り返った。


「……お兄さん、不審ですよ」


「A、か」


「はい?僕はAですけど」


どうやら基本人格のようだ。


Aは比較的温厚で、よく下の子供たちの面倒を見てくれる。


何はともあれ凶暴なときじゃなくてよかった。


僕は密かに胸を撫で下ろす。


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