五里霧中
「……よろしく、カイン」
「……よろしく、カイル」
こうして兄を見つめるのは久しぶりだ。
だけどやっぱり懐かしいと思わないのは、心のどこかで兄の存在をいつも感じていたからだろうか。
そう考えると、双子っていうのは不思議な生き物だ。
「はいはい。感動の再会はもういいでしょ?行くよ」
「「……うん」」
冷めた態度の男に促され、急いで家を出る。
「……僕がいるからね」
その時恥じらいながら優しく触れた兄の手は、なんだかいつもより大きく感じられた―――。