五里霧中
「当たったぁ」
「っくそ!」
急所は外したが腕を切られてしまった。
じわじわと血が流れ出し、傷口の温度が下がっていく。
マズイな……
「あははは、戦意喪失ぅ?妹を逃がして自分が死ぬなんてカッコいいねぇ。
まぁ、あの人には敵わないけどぉ」
そう言って恍惚とした表情で遠くを見つめたかと思うと、奴は一瞬にしてまた表情を歪めた。
「だからあなたたちはすっごく邪魔なのぉ。
私とあの人の邪魔をするものは、消さなきゃダメでしょぉ?」
唇の端をニィッとつり上げ、ニンマリ笑う。
まるで口裂け女だ。