五里霧中



あの時僕は寸でのところでレイの鳩尾にナイフの柄を叩きこんだ。


レイは失神。僕等は九死に一生を得たってわけだ。



一時間ほどの間に二人の少女を失神させるなんて。


文章だけ見ればかなりのプレイボーイだけど、実際にはただの野蛮児だ。


ぼーっと窓の外を見つめ、今日も世界は平和だと日和ってみる。



「リンは生きてた?」


「え、あぁ、生きてるよ。少し情緒が不安定になってるみたいだけど」


「そっか」


大切な『妹』は生きてたんだ。


あの子はいつかきちんと『にぃに』から決別できるだろう。


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