五里霧中



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空が少し高くなり、蝉の声が遠のいた頃。


東京よりも少し北に位置するこの街は、そろそろ肌寒さを感じる季節になっていた。


雑木林の木々達も青々とした葉を赤く色づかせ、街全体が模様替えをしているみたいだ。


だけど最近街を騒がせているのはそういった浮ついた話題じゃない。


もっと禍々しい、殺人鬼の噂。


先週も5丁目の犬がぐちゃぐちゃになって発見されたらしい。


そのせいか、回覧板には夜間の外出を控えるようにと注意が書かれていた。



さてそんな中、僕が今何をしているかというと。


「ほら、君も手を休めるんじゃない。今日の夕飯が掛かってるんだ」


「別に買いに行ってもよかったのに」


「それでは秋の味覚を存分に楽しめないではないか!」


憤るクロに尻を叩かれて、僕はまた芋掘りに専念する。


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