月に秘めた恋
俯きながら 俺の方にやって来た


泣いている・・・


俺が泣かせたようなものだよな?


「ごめん・・・」


「え?」


「・・・泣かせてごめんな?」


これ以上 未憂の泣いた顔を


見たくなかった


笑ってて・・・欲しいから


また 抱き締めたかったけど


そうすると 未憂が困ると思って


必死に抑えた


「湊君・・・私は・・・


李生を裏切る事は出来ないの」


「・・・わかってる」


わかってる・・・


だけど俺は 振られるのを


覚悟して告白したようなものだから


「だよな・・・お前は


李生の彼女だもんな?


李生は・・・俺のダチだし」


だから・・・そんな悲しい顔するなよ


また 抱き締めたくなる


「忘れてくれ さっきの事・・・」


そう言って 未憂の横を歩いた


振り返っちゃダメだ


最初から わかっていたじゃないか


俺は・・・未憂を好きになっちゃ


いけないんだ
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