月夜に舞う桜華



――――――――――
―――――――


(――――人の、気配。)


せっかく心地よく眠っていたのに、人の気配がしたと同時に醒めてしまった。


長年、人の気配に敏感だったから、そうそう治りはしない。鈍くなってくれればいいのに未だにその兆候は見られない。


「――!!―――!!」


(あぁ………煩いなぁ…)


一体誰が来たのか、全くあたしの睡眠の邪魔をしてくれるなんて良い度胸してる。


このままどこかへ消えてくれればいいのに、その様子は見られない。


仕方なく、あたしはゆっくりと目を開けて上半身を起こした。


「うるさ………」


一つ欠伸をしてからあたしは屋根の下を見下ろした。
そこには四人の男達がいて、あたしを見上げていた。


< 10 / 310 >

この作品をシェア

pagetop