月夜に舞う桜華
「何年一緒にいると思ってるんですか?」
「そうだな……」
フッと笑い返し、俺は、顔をあげた。
目の前に広がる綺麗な景色は俺の心とは全く反対の色をしている。
(なんか、楽しいことねーかな……)
ぼんやりと思っていると、屋上に奇声が響いた。
「ぎゃああああ!!」
「!!」
その声は、屋上階段の屋根に登った彰真のもので、彰真はまるで化け物に遭遇したかのように転げ降りてきた。
「なんですか、色気のない声だして」
「男に色気求めんな!!!ってそれより!!!」
「どうした」
「お、おおお………!!!」
「?」
いつも以上に取り乱す彰真にただならぬ物を感じ、目を細める。
重い腰を上げて屋上階段の屋根を見つめる。
「彰真、何がいた」
静かに警戒しながら問いかければ、彰真は生唾を飲んだ後叫んだ。
「女が、いる!!」
それと同時に屋根から何かが現れた。