月夜に舞う桜華
「―――煩いな」
ポツリと呟いた。
そして一気に間合いをつめて彰真を殴った。
数歩、彰真がよろめきながら下がる。
「ペラペラペラペラ何も知らないくせに」
ふらあっとあたしは彰真の胸ぐらを掴む。
「っ、椿」
「苛々する――どうしてくれる」
胸ぐらを引き寄せ右頬に拳を振り下ろす。彰真は倒れそうになるが、何とか耐えあたしに向かって横から拳を向ける。
至近距離とはいえ、避けられないということはない。
体の重心をずらす。
「くらえっ」
しかし、まるで重心をずらすのがわかっていたようで足を振り払われると見事に体制を崩してしまった。
「――――っ!!」
そして、そのまま彰真の拳はあたしの左頬に直撃した。