月夜に舞う桜華
加減のしていない拳が入り、あたしの体は見事に吹っ飛んだ。
「しまっ」
ハッと我に返った彰真は慌てて駆け寄ってくる。
むくりと起き上がって殴られた場所に触れると熱を感じる。鉄の味がして口の中が切れてしまったのに更に苛立ちがます。
駆け寄ってくる彰真の足を振り払い、まさか反撃がくるとは予想していなかったのか彰真の体制が崩れる。
「大じょう……っ」
「隙ありすぎ」
すかさず蹴りを溝尾に食らわせてやった。
「っ」
「一々気にしてんじゃねぇよ」
ゆっくりと彰真に近寄る。
ゲホゲホ咳き込みながら溝尾を押さえている彰真の前髪を掴んで引き上げる。
「女だから気になったのか?喧嘩吹っ掛けてきたのお前だろ」
「………っ」
「なんか気が削げた」
つまんない、と呟いた。