月夜に舞う桜華



「――!!―――!っ」


この声は怒りに飲まれている声だ。
彰真の奴、なんか言ったんだなと小さくため息をつけば、後ろの四人が慌て始めた。


「―――おいおい」

「この声、椿?」

「っ」

「おいっどけっ!」


司が慌てて俺を押し退けて屋上に乗り込もうとする。
俺が、阻止すれば、その慌てようは大きくなった。


「まぢでどけって!!」

「………なんで慌ててんだよ」

「うるせえっ椿止めんだよっ」


そう大声で喚くと司は俺を押し退けて屋上に乗り込んだ。


「椿!――――椿、やめろ!!」


四人が椿の姿を見ると、目を見開き駆け出す。次いで俺が、屋上に足を踏み入れ、広がる光景に目を見開く。


怒り狂った椿、そして血まみれで倒れている、彰真。


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