月夜に舞う桜華



あまりの真剣さにあたしは自然と背筋が伸びていた。


『――――桜姫』





「和は言った。あたしが憎いと。消えろと」


強くなりたいから、女に上にたたれるのはプライドが許さないから。


「あたしは、その時悟ったの。心から信じていても、必ず裏切られるんだと」


一番信頼していた。
血は繋がってなかったけど、あたしは本当の家族のように思っていた。


一方通行だったけれど。


「そして、その日皇蘭総長桜姫は死んだの」


―――死んだはずだった。


人間人を殺した後まともな心ではいられなくなる。
元々用意してあっただろう穴に引きずり投げられ、埋められた。
しかし、穴があさかったのと土の固さが不十分だったからか、その後に降りだした土砂降りで土が運ばれ、あたしは奇跡的に生還した。


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