月夜に舞う桜華
「当たり前だろ?」
クククッと肩を震わせる朔夜にあたしは顔に熱が集まるのを感じる。
恥ずかしい。穴があるなら入りたい………。
「…………」
「子ども扱いなんてしてねぇよ」
ククッと余韻の笑みを溢すと、朔夜は顔を近づけてきた。
ハッとする前に、朔夜の唇があたしの唇に重なっていた。
「子どもにはこんなことしないし」
「………」
「何か他に?」
「………熱、移るよ」
毛布を口許まで引っ張りあげてあたしは目以外を隠す。
「お前の熱はただの泣きつかれ。風邪じゃないから移んねえよ」
「………」
「ほら、もう一眠りしろ」
朔夜の手があたしの頭を優しく撫でてくれる。その心地よさにあたしは自然と目が閉じていくのに時間はかからなかった。