月夜に舞う桜華



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ガッシャーンと派手にガラスが割れる音が響き渡る。


「和!!やめろ!!」


制止する仲間に従うことなく、和は手当たり次第のものを投げつけ倉庫の窓ガラスを割っていく。


和の心は、荒れ狂っていた。


「くそっくそっ!!」

「和!!」


雷心は、荒れている和を押さえ込むため飛び付いた。
雪崩れこむ二人だが、和は頭を抱えて地面をのたうち回る。


「落ち着け!!」


バシッと加減もせずに雷心は和の頭を叩いた。
叩かれた衝撃で和は、ハッと我に返る。大人しくなった和に雷心は深く息を吐いて和の上から退いた。


「………ったく…」

「はぁ……」


和も上半身を起き上がらせる。雷心は前髪をかき上げながら狼狽している和を見る。


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