月夜に舞う桜華



「だったらこんなとこいねぇよ」


舌打ちと一緒に返す。
すると、ため息が返ってきた。


『一人で飛び出すからですよ……』

「なんだと?」

『冷静であればここで情報収集が出来たって話です』

「………要点だけ言え」


少し声を抑えながら言えば、またため息が返ってきた。


『もっと総長らしくしてくださいね』

「………」


言いたいことはたくさんあるが、とりあえず昌がいてくれて良かった。


『場所は、隣町の海岸沿いにある倉庫です』

「………悪いな」


ピッと昌からの返事を待たないで俺は電源をきった。
ヘルメットを被りエンジンをかける。


(………隣町)


目的地は決まった。


(椿………)


エンジンをふかしながら、俺はスピードを出してバイクを走らせる。


目指すは、隣町の海岸。


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