月夜に舞う桜華



「――――悪いな」

「お……ま、え…」


グッと再び押し込められて勢いよく引き抜かれる。


「――――ハッ」


血が一気に出ていく。
下腹部に手をやれば、患部は赤く染まり、止めどなく血が流れている。


「――っク、」


カクンと膝の力が抜ける。
崩れるように倒れて、地面に片手をつく。


「ハッ……ハッ…」


ポツポツと地面をあたしの血が赤く染めていく。


「和……おま……」

「痛いか?」


顔だけ見上げれば、頬を濡らしている和の顔がうっすらと見える。


「でも、心配するな………」


(ヤバい……意識が……)


視界が薄れていく。
目の前がよく見えない。



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