月夜に舞う桜華



『で?お前は?』

『俺?勿論死んだよ』


ケラケラ笑いながら和はあたしの隣に立つ。全く笑えない。


『そ。満足したわけ?』

『もー大満足……』


和は、桜の木に手を置くと、笑顔を引っ込めた。


『………俺にとってお前は全てだったんだ』


ポツリと言葉を吐き出していく。


『親もいない俺に同じように親のいない桜姫』

『……』

『生きる理由もなくてただ何となく毎日を過ごして』


でも何か刺激が欲しくて喧嘩を始めた。案外素質あるようで俺の名前は瞬く間に広がっていった。毎日喧嘩に明け暮れてボロボロになって。


それでも、生きているという実感があったからよかったんだ。


そんな時に、風の噂で女だのに物凄く強い女がいると聞いて、俺は女を探した。


そして、桜姫に逢った。


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