月夜に舞う桜華
派手に音を立てながら地面に倒れる和に満足する。
『お、良い感じに入ったな』
『――って』
頬を押さえながらゆっくりと上体を起こす和にあたしはほとほと呆れた。
『お前、本当に馬鹿だよな』
溜め息をつきながらやれやれと肩をすくめる。
『どうして何も言わなかったんだ』
あたしの中は皇蘭の時に逆戻りしている。
『………言えるわけないだろ』
『あたしは、誰のものでもない。あたしのものだ』
それを、お前の狂ったからで壊して良いものじゃない。
だが、言えば良かったんだ。
ただ一言『いやだ』と。
それだけでも、皇蘭を壊して二人に戻ることは造作ない。
『―――皇蘭を創った理由、覚えてるか?』
あたしの問いかけに和は首を振る。