月夜に舞う桜華



『皇蘭はただのきっかけに過ぎない』


誘われたから、まぁいいかと思った。
でも、良い機会だと思った。


『あたし達は、名前のない関係だ。』


でも、皇蘭という場所を作ることによって、名前のある関係になることができる。


そして、色々な人間が集まって―――仲間になっていく。


『皇蘭というコミュニティがあたし達の居場所になればいいと、あたしは思っていたんだが』

『!桜姫』

『まさか、お前を狂わすとはな』


あたしの誤算だった。


『もう、終わってしまったことを愚痴愚痴言うつもりはない。』


全部、終わった。
落とし前もしっかり。


ね、朔夜……終わったよ。全部。


『………桜姫』

『!?』


掠れた涙声にあたしは目を見開く。
和がはらはらと涙を流し始めてギョッとする。


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