月夜に舞う桜華



刹那、ザッと砂を蹴るような音に顔を上げれば、ニヤリと笑いながら俺を見下すように見ている男が複数。


『お前が、羽柴司か?』

『おいおいマジかよ……』


俺は、溜め息をついた。


『この前は俺のとこの奴等が随分世話になったみたいだなぁ』


ジリジリと周りを囲まれていく。
俺は、舌打ちをしながらどうしようか思考を巡らす。
はっきり言って今の俺には、喧嘩するような力は残っていない。
立っているのがやっとなんだ。
一発殴られたら気絶すること間違いなしだ。


(参ったなぁ……)


『借りは返させてもら……へぶっ?!』

『!!??』


いきなり、目の前の男が倒れた。


『シュウゴさん?!』


慌てる仲間を余所に俺は、瞬きを繰り返しながら前を見つめる。


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