月夜に舞う桜華



『えー……何この弱さ』

『いやいや桜姫、後ろからだったら誰でもこうなるよ……』


緊張感のない呆れた二つの声に俺は、目を丸くした。


『っ誰だ!シュウゴさんを蹴りやがったのは!!』


吠える奴等に二人はキョトンとする。


『あたしだな』

『桜姫だ』

『『あぁ!?』』


可笑しな奴等だと思った。
見たこともない、黒髪の男女。
喧嘩とは無縁そうな二人は、顔を見合わせ、首を傾けた。


『てか和、これどうおもう?』

『明らかイジメ?』

『へぇ』

『久々やるか?』

『いいなそれ!』


二人で何やら話がまとまったのかハイタッチなんかしている。


(なんなんだこいつら……)


『何だてめぇら!!』


俺の前に男達は立ちはだかり、すっかり俺は、蚊帳の外だ。


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