王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「理佳ちゃん、私、今から告白することになっているみたい」

「そのようだな」

 理佳も遠い目をしている。

 綾菜も疎いが、多分、理佳も相当だ。

 仲間を見つけた気がしてちょっとだけほっとした。

「綾菜ちゃーん、元気?」

 相変わらずの能天気な声。

「こんにちは、純也くん。やっぱり、きもだめしをするんだね」

 綾菜を見つけて真坂が寄ってきた。隣には当然、御影もいる。

「綾菜、来たか。お前が逃げだしたら、全寮生での捜索イベントに変更するつもりだったんだが」

 こちらもいつもの嫌味。

 眼鏡から覗く視線の鋭さも、普段どおり。

「琥珀。今日も意地悪するなら、私は帰る」

 今から怖い体験をしなくてはいけないのだ。

 悪いけど、嫌味も意地悪も受けいれる余裕はない。

「綾菜ちゃん、ゴメンね。琥珀は、来てくれてすごくうれしいって言ったんだ。琥珀語はいつでも通訳してあげるから、任せて」

「純也、いいかげんなことを言うな」

 蹴りを同時に放って、御影は怒鳴る。

「僕への愛のムチが激しすぎるよ、琥珀」

 直撃した左脛をさすりながらも、うっとりした表情の真坂。

 このひと、やっぱり変態だ。







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