王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「私、ほかのひとのことは無理に知りたいと思わないのに、久我さんだけは知りたいと思っちゃうんです。おかしいですよね」

 久我は自身のことを言葉でも態度でもほとんど教えてくれない。

 気にかけてくれているのは確かだが、こころは許してくれていないのではという思いが頭をもたげる。

 どうしたら、このひとをもっと知ることができるのだろう。

 どうしたら、もっとこころを寄せてもらえるのだろう。

「オマエ、なにか不安なことでもあるのか? 呆れたりなんか本当にしていないぞ」

 瞳の揺らぎで感情を読まれてしまう。

 こんなに気にかけてもらっているのに、それ以上を望むのは贅沢かもしれない。

 でも、欲求を抑えられない。

「……久我さんが、自分のことを全然話してくれないのは、私に気を許せないからですか?」

「なにか、聞いたのか?」

 久我の胸の中で、綾菜は小さく首を振った。

 さすがに、離婚のことは口にできない。

「なにも……」

 ごまかすことには慣れていない。

 つい目を逸らすと、顎を掴まれ、顔を向けさせられた。
< 190 / 191 >

この作品をシェア

pagetop