王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
四話
「綾菜。手は繋がないよ」
「え~っ。ちょっとだけ。小指だけでも」
「私のキャラじゃない」
言いきられて、綾菜はしゅんとした。
諦めきれなくて、上目使いに甘えた瞳をしてみせる。
「そんな目は、男にしなさい。一瞬で落ちるから」
「私は理佳ちゃんを落としたいのに~」
わざとらしく腰をくねらせたら、思いっきり頭を叩かれた。
「だから、女の武器は男に使えと言っている。私に使うな」
「そんなぁ。私は少しだけ理佳ちゃんとべたべたしたいだけなのに……げほっ」
すかさずラリアートをかけられ、綾菜はむせこんだ。
「ったく、アンタは男嫌いじゃなくて、女好きなだけだろ」
「違うよ、理佳ちゃん。私は男のひとが嫌いじゃなくて、苦手なだけ。理佳ちゃんの恋バナとかもちゃんと聞くよ」
「私は男にも女にも興味はないっ!」
寮の食堂に並びながら、綾菜は自分勝手な女子ライフを満喫していた。