色×iro~素顔のままで~
それとも、内容までは聞こえてなかったのかな。

先にあたしを呼び止めたトモエの、邪魔をしたくなかったとか。

「それで?どのバンドだったかわかった?」

気がつくと、真面目な表情で訊いてる連。

「あ、うん」

急に、あのときに絡みつかれた、音と視覚の感覚に蘇られる。

「...ミストラルってバンドの曲だった」

「よく...わかったね。もう覚えてないと思ってた」

「だって、何か、魂に刻み込まれてる感じに覚えてて」

「それ、すごいね」

連は嬉しそうだ。

「それで、どうだった?聴いてみて」

「うん、良かった」

「...何か、ウソくさい。正直な感想を、聞きたいんだけど」  

ウソなんか言ってない。

でも、ちょっと歯切れが悪いのは、そうじゃなくて、

「あたし...昨日ね...あの、笑わない?」

「笑うようなこと言うつもり?感想なのに」

「そうじゃなくて」

連にバラしても、困るようなことになりようがない。

だから、言っていいか。

「あのさ、あれ、あの曲歌ってたイッセーさんに、あたし、一目惚れしちゃった」

連は、一瞬黙った。
< 17 / 141 >

この作品をシェア

pagetop