射した光は暖かく
中には沢山の着飾った人がいた。
あちこちで名刺交換をしている。
「あ、申し遅れました。」
そんな様子に気付いた男は懐から名刺を取り出すと麻衣子に差し出した。
「山崎ミュージックアカデミーの山崎優司と言います」
「山崎…ミュージックアカデミー…」
山崎ミュージックアカデミーと言ったら知らない人は居ない大手レコード会社だ。
(その代表取締役が目の前に…!)
山崎がやたらに眩しく見えた。
「あの、すいません。あたしっ、高校生なので名刺とか持ってなくて…」
「じゃあ、名前だけでも教えて頂けますか?」
「大下上高校の羽田麻衣子と言います」
「大下上と言ったら音楽や美術で有名な高校だね?」
「はい。あたしはピアノ科なんです」
「好きな作曲家は?」
「リスト、です」
「いいね、リスト。早い音符にも強いし穏やかな曲風にも馴染む天才だったらしいね」
「はい。繊細であって、とても深い何かを感じて…」
麻衣子は目を輝かせて語る。