【短編】貴方の背中
「“またな”か、期待しても良いのかな?」


ソファの上で、クッションを抱きながら独り言。
ついてるはずのテレビの音は遥か遠く、頭の中では記憶の旅へ。


あの“Candle”って言う店を出て、ふらつく私はすぐに歩けなくなった。


「大丈夫か?」


そう言いながら私を支える手。今度は躊躇わない。
その手に、私の全てを預ける。


「ごめんなさい、朝日奈部長」


“歩けるか?”という問い掛けに、小さく首を振る。
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